ふむ...

やおういかんのぅ

ひめいち

漱石の「三四郎」を読んでいると、こんな箇所がある。




「じつはお国のおっかさんがね、せがれがいろいろお世話になるからと言って、結構なものを送ってくださったから、ちょっとあなたにもお礼を言おうと思って……」
「はあ、そうですか。何か送ってきましたか」
「ええ赤い魚の粕漬なんですがね」
「じゃひめいちでしょう」
 三四郎はつまらんものを送ったものだと思った。しかし野々宮君はかのひめいちについていろいろな事を質問した。三四郎は特に食う時の心得を説明した。粕ごと焼いて、いざ皿へうつすという時に、粕を取らないと味が抜けると言って教えてやった。
 二人がひめいちについて問答をしているうちに、日が暮れた。





この「ひめいち」という魚は知らないなぁ、というわけで、以来ずっと気になっていた。
やっと分かった。

なんだよ、「金太郎」のことか!

インターネットで調べたら、「ひめいち」は四国ではよく知られた名前のようである。通販で買ってみようかなどと、さらに調べたら、中国地方では「金太郎」と呼ばれている魚ということが判明した。



「金太郎」なら知っている。美味い魚だ。

野々宮君も三四郎も、九州から送られてきた「金太郎=ひめいち」を食ったのだな。

明治の当時は粕漬けにしていたのだろうか?
今日のような普通の干物でも十分美味いのだが、粕漬けとなると、ちょっと高級感があるとか、さらに美味くなるとか、そういうことか。ふむ、粕漬けの「金太郎」も食ってみたいね……。

ともかく一件落着。


ひめいちや
ところ変われば
金太郎


三四郎 新潮文庫 / 夏目漱石 ナツメソウセキ 【文庫】w200]

(火曜日)はれ <旧ブログ(08/07)から>